合併症管理

局所麻酔薬 -basic-

この分野、麻酔科専門医試験では結構細かく問われているところなんですが、周術期管理チームでは以下に示すように、局所麻酔薬の極量と、静脈内投与をしてはいけない薬剤の選択(解答はロピバカイン)局所麻酔薬中毒しか問われていません。

実臨床を重視すればこその問題選択だと思います🤗

薬剤事の細かな性質や作用機序、薬理学的なことなどはadvancedで再掲します。

 

このページを読むと解けるようになる(!?)問題

局所麻酔薬の極量
  • 2018-A27
静脈内投与してはいけない薬剤
  • 2019-B30
  • 2016-B36
局所麻酔薬中毒
  • 2019-A16
  • 2017-A25の一部
  • 2015-A20
  • 2015-A50
  • 2014-B18
その他
  • 2018-B11

すごく基礎的なこと

局所麻酔薬はアミド型エステル型に分類することができます。現在主に使用されている局所麻酔薬はほとんどがアミド型です。リドカイン(商品名:キシロカイン)、メピバカイン(商品名:カルボカイン)、ロピバカイン(商品名:アナペイン)、ブピバカイン(商品名:マーカイン)、レボブピバカイン(商品名:ポプスカイン)など全てアミド型です。

ロピバカイン、ブピバカイン・レボブピバカインは効果が長時間に及びます(硬膜外麻酔だと2〜3時間、末梢神経ブロックだと10時間以上)

エステル型はテトラカイン(商品名:テトカイン)、プロカインなどですが現在あまり使用されていません。

アミド型は肝臓で代謝を受けエステル型は血漿中のエステラーゼにより加水分解を受けて代謝されます。アレルギーはエステル型の方が多いです。

作用機序はここでは詳しく述べませんが、細胞内にあるナトリウムチャネルに結合することで神経伝導を遮断し、効果を発揮します。この細胞内のナトリウムチャネルという言葉は覚えておいて下さい。

局所麻酔薬は運動神経・知覚神経ともに遮断します

局所麻酔薬の作用に関係する脂溶性、pH、pKa、タンパク結合率などは重要ではありますが、周術期管理チームテキストでもあまり触れられておりませんので、ここでは割愛します(advancedで取り上げます)。

 

局所麻酔薬の極量

局所麻酔薬には「それ以上投与したらダメですよ。中毒とかの合併症になるかもよ」という量があります。

極量以上を投与したからと行って必ずしも中毒症状がでたり重篤な状態に陥ったりするわけではありません。静脈や動脈内に直接投与したり、皮下に浸潤麻酔をしたりするのでも違ってきます(血管内に直接打ち込むと文字通り一気に血中濃度が上昇して危ないです)。

以下に極量の目安を掲載しておきます。

局所麻酔薬 極量
リドカイン 5mg/kg
メピバカイン 5mg/kg
ブピバカイン 2mg/kg
ロピバカイン 3mg/kg
レボブピバカイン 3mg/kg

ちなみに、リドカインは抗不整脈薬として静脈内投与も行われますが他の局所麻酔薬は静脈内注射してはいけません

局所麻酔薬中毒について

どんな時に起こりやすいん?💉

血管内の濃度が上昇した場合に起こります。硬膜外麻酔時や末梢神経ブロック時に血管内に直接注入(血管内誤注入)してしまったり、繰り返し投与した場合(結果的に大量投与)血管が豊富な場所に大量に投与した場合などで起こりやすいです。末梢神経ブロックでは肋間神経ブロック時に多いと言われています。

特に一昔前にブピバカインが頻用されていた時にはかなり問題でした。ブピバカインは極量が低く、心毒性も強かったため、局所麻酔薬中毒を起こしてしまうと蘇生するのが難しかったようです。

現在多く使用されているロピバカインやレボブピバカインは循環に対する作用が比較的低く、ブピバカインよりも安全だとされています。

脊髄くも膜下麻酔ではブピバカインが頻用されますが、投与量が少ないため(2〜3cc程度)のため中毒を起こす可能性は低いです。

どんな症状が出るん?🤮

血管内濃度により症状が異なります。濃度上昇が比較的低く抑えられれば軽症ですみますし、高ければ命に関わります。以下に中枢神経系に対する作用、循環系に対する作用を示します。基本的に意識消失など中枢神経系の症状の方が不整脈や心停止など循環系の症状よりも先に出ます

下に行くほど濃度が高く症状が重篤
  1. 口周囲や舌のしびれ(知覚異常)
  2. めまい🌀や耳鳴り👂⚡️、徐々に多弁や興奮状態
  3. 筋攣縮
  4. 意識消失
  5. 顔面・指先から始まる痙攣→徐々に全身性痙攣(強直性・間代性)
  6. 昏睡、呼吸停止
  7. 心血管系抑制(循環虚脱・不整脈、最終的に心停止)😱

対処・治療はどうするん?💊

とりあえず応援の人を呼びましょう!(ハリーコール)。

基本的には痙攣を止めることと、呼吸と循環の補助重篤な場合は脂肪乳剤(イントラリピッドなど)の投与を行います。

痙攣を止めるために用いる薬剤としてはジアゼパムやミダゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬物が一般的です。

 

 

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