術前外来・・いいですねぇ.うちにはありません(T . T) .最低一人はフリーにならないといけないので,麻酔科医の数がカツカツでやっている病院ではなかなか設置が難しいのではないかと思います.
周術期管理チーム試験でも術前外来を設置することの利点について問われています.内容的には常識の範囲内の知識で十分解答可能であるため特にこの部分の勉強が必要というわけではないですが,一応まとめておきたいと思います.
なお,周術期管理チームテキスト第4版(以下テキストと表記)では376ページから記載されています.
麻酔科術前外来・診察の目的のまとめ
具体的に麻酔科医が術前診察・外来でどのようなことを行っているのかをまとめておきます.
- 病歴(現病歴や既往歴)の聴取・確認
- 内服薬の確認(降圧薬や糖尿病薬,抗血小板・抗凝固薬など)
- 各種一般検査(血液検査やレントゲンなど)のチェック
- 麻酔に関するインフォームドコンセント(麻酔方法や合併症の説明).
それを元にした看護師や臨床工学技士等の多職種との情報共有を行う.
術前外来がないと・・・
術前外来がない施設ではおそらく手術説明がなされるときに同時に麻酔の説明を行うこともできていないので,特段外科医からのコンサルトや情報提供がないと直前までなかなか把握できないことも多いのではないかと思います.
また,術前外来があると専用のブースが設けられているでしょうが,ペインクリニック外来など麻酔科医が関わる外来を行っていないとそんなものはないので,病棟でのベッドサイドや病状説明室を使用することになります.特に一部の骨折患者さんや超高齢患者さん(認知症患者さんも多いので)などベッドから動けないような場合はベッドサイドで行わざるを得ません.
術前外来があると・・・
まず外来のブースで行うことができるため「プライバシーの確保」がベッドサイドに比べて確立しやすいですね.個室入院の患者さんや,説明室を使用できる患者さんの場合は良いのですが,それが難しい患者ではどうしても他の患者さんに話の内容の一部が聞こえてしまいます(特に大部屋の場合).
また,手術説明や麻酔説明を行う日に,必要な検査のほとんどは同時行われていることが多いので入院日数の短縮にもつながりますし,手術まで猶予がある場合には禁煙指導など患者教育や高血圧・糖尿病患者のコントロールをさらに充実できる可能性があります(患者さんが言うことを聞いてくれるかはさておいて・・😅).
また意図しない合併症が発見された場合でも余裕を持って検査をしたり手術を延期したりもできます.手術前日に麻酔科医が手術の新たなリスクを発見してしまった場合など,手術延期ということもありますので,患者本人や家族にも負担を生じさせてしまいます.
そして,手術予定と外来予約を調整することで,複数の患者さんに対して一度に説明が可能のため効率化も図れますし,必要な検査や問診などをある程度ルーチン化することで見落としなどを防ぐことができます.
術前外来設置の利点まとめ
- 他の患者から隔離された落ち着いた環境で行うことができるため,プライバシーの確保が容易!(こちらも周りを気にしなくてすみますね)
- 術前評価を効率的に行うことができる!
- 患者のリスクの早期発見ができる可能性ある.
- 早期に患者教育を行うことができる.
- 入院期間を短縮できる可能性がある.