モニタリング

循環モニタリング①非侵襲的血圧測定_basic_

循環モニタリングと聞いて思い浮かぶのはおそらく、血圧(非侵襲的・観血的)、心電図ではないでしょうか?

糖尿病と並んで万病の元の一つである高血圧。血圧測定は血糖測定よりも非侵襲的で簡便であるため今や家庭でも、外来でも、病棟でも、手術室でも、店の健康コーナなどどこでも見かける血圧測定器を見かけますよね!

ここでは血圧測定の基本、非侵襲的血圧測定(non-invasive blood pressure:NIBP)について周術期管理チーム試験に問われている内容を元に簡単に説明してきます🤗

観血的動脈圧測定(俗に言うAライン)は次の投稿で

問われている内容は主に測定に影響を与える要因について”です。

このページを読むと解けるようになる(!?)問題

 

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  • 2016-A48
  • 2014-B33

 

その前に、オシロメトリ法って名前知ってます?

昔(今の50〜60歳くらいの先生が若手麻酔科医だった頃かな)は自動血圧計なんてものはほとんどなく、麻酔科医はマンシェットの間に聴診器を挟み込んで、数分おきにシュコシュコと手動で血圧を測っていたのです・・!今では想像もできないかもしれませんが・・😱

もちろん今みたいなデジタルの自動麻酔記録装置なんてない時代ですから(自動で鉛筆が動くアナログな自動記録装置はありましたが・・・見たことあります・・?笑)、記録も手動です。昔の麻酔科医の先生は今とは違う大変さがあったのです!(私はそのような話を聞きながら育った世代です🤗初期は麻酔記録は手書きしてましたが)。エピソードとして語るのはいいのですが、それをことさら強調するようになると「老害、懐古厨などと陰で揶揄されるのでほどほどにしましょう(私も気がつくと昔の話をしてしまいがちで気をつけています)。

聴診法(コロトコフ法)

閑話休題。上記の麻酔科医や看護師さんがシュコシュコと聴診器を使いながらする測定方法は「聴診法(コロトコフ法)」と呼ばれる一般的な方法です。これはカフを膨らませてその圧で血流を止めたあと空気を少しずつ抜き、血流が流れ出した時の音(これがコロトコフ音)と音が消失した時の圧を水銀柱(古い?)や、メータを見ながら測定する方法です。

ただ、慣れてない人と熟練した人では測定値に誤差が出やすいです。特にカフの脱気が早すぎると収縮期血圧は低めに測定されてしまいます(タイミングを逸してしまうため)。

オシロメトリ法

オシロメトリ法とは主に家庭用の自動血圧計で用いられます。カフを膨らませ血流を止め、徐々に圧迫を解除していくところまでは聴診法の手順と同じです。オシロメトリ法では動脈の拍動に伴って発生する血管壁の振動の変化(圧脈波)をセンサで捉えることで血圧を測定します(へぇ)。

その振幅が急激に大きくなる部分が最高(収縮期)血圧、振幅が最大になる部分が平均血圧、急激に小さくなった部分が最低(拡張期)血圧とします。平均血圧は最大振幅なのではっきりしていますが、最高と最低は平均血圧を元に推定されます(機種ごとに異なるアルゴリズがあるようです)。

昔はセンサの性能が不十分であったため聴診法と比較しても誤差が大きかったようですが、最近ではほとんど差がないようです。

また、聴診法と違って、マンシェットを巻くことができる部位でその部位で動脈の拍動がセンサで感知できる部位であればどこでも測定できるという利点があります。

 

正しいマンシェット幅の選択や巻き方

 

正しいマンシェット幅の選択と巻き方
  1. マンシェットの幅は、巻く部位の直径の1.2〜1.5倍程度が適正(サイズに関しては教科書によってもネット記事によっても微妙に違います)。
  2. 巻く強さは、指が1〜2本くらい入るくらい(曖昧ですがね)

この数字は覚えておいてください!

この幅が巻く部位に対して狭すぎると血圧が高く、広すぎると低く測定されます。狭いと高く測定されます。狭いと短い距離で動脈を圧迫して血流遮断しなければならなくなるので必要な圧が本来必要な圧以上に上昇するためです。

と言っても、成人で通常の範囲内の体格であれば13cmの幅が選択されているのではないでしょうか(小児や小柄な人だと10cm、7cm、5cm・・・と小さくなっていきます)。

巻く強さがゆるゆるだと血圧が高く、キツキツだと低く測定されます。ゆるいと中の膨らむゴムの袋が測定部位との隙間に余裕がある分外に膨らんでしまい、動脈を圧迫する部位での力が弱くなってしまいます。そのため余分にカフを膨らませなければならず、見かけ上測定値が高くなってしまいます。

 

でも、肥満患者で上腕の形がワイングラスみたいな形状になっている人とか、「はっきり言って困る!!😭トホホ」

 

その他の知識

その他の基礎知識
  1. 収縮期血圧と拡張期血圧の差を「脈圧」と呼ぶよ。色々な疾患や病態で脈圧は大きくなったり小さくなったりするよ(詳細は別稿で)
  2. 測定は基本的に最低5分おきにしてね(安全な麻酔のためのモニター指針にも記載)
  3. 透析患者のシャント側に巻いちゃだめだよ!潰しちゃうよ!
  4. あんまり頻回に測定すると末梢神経障害の原因になるよ!
  5. カフを巻く位置が高い血圧は低く、位置が低いと血圧が高くでますよね(動脈ラインで測定しているとよくわかりますよね)。

 

おすすめの教科書(再掲)

易しめのやーつ

またまた讃岐先生の書籍なのですが・・笑

基本的なものとしては以下の3冊がおすすめです!看護師さんや研修医にもよくわかるように書かれており、図や写真も豊富です。手術室に一冊は置いておきましょう!(え?もう置いてる?)

本格的なやーつ

一つ目は集中治療領域の有名雑誌「INTENSIVIST」の「モニター」です。予備知識が全くない状態で読むのはしんどい(笑)と思いますが、色々な文献を元に丁寧に書かれています。ただ、少々古いため(2011年)amazonでは新品の取り扱いがありません・・。

二つ目は、新戦略に基づく麻酔・周術期医学シリーズの「麻酔科医のための周術期のモニタリング」です。神経・呼吸・循環・筋弛緩・体温のモニタリングについてきれいにまとめられています。カラーで見やすく、内容もわかりやすく書かれているため、かなりおススメではあるのですが・・・高い!💸(1万円超・・・・!)